なんとなく目に留まった女性がいた。
もちろん、話しかけることなんてできない。
名前も知らない。でも、こうして勝手に想像してしまう——
『もしも、あの子があんな姿を見せてくれたら』って。
これは、“ある中年男の妄想”です。
nanaは、地方のアパレルメーカーに勤める、25歳のバイヤー。
展示会のために、2泊3日で東京へ出張に来ているらしい。
…もちろん、全部俺の妄想だけど。彼女のネイルが、妙に記憶に残っている。
…もしかして今、あの部屋で、ひとりで淫らなことをしてるのかもしれない。
出張先のホテルで、ふうっと小さく息をつきながらベッドに横たわるnana。
脚を伸ばしたり、縮めたり、まるで誰にも見られていないかのように無防備。
スカートの奥、ちらりとのぞく柔らかそうな太もも。
まっすぐ見つめるのは失礼だとわかっていても、目が離せなかった。
あの子が、あんな姿を見せてくれるなんて——妄想の中だけでも、奇跡だ。