あれから数時間。
ホテルの最上階から、いくつかの窓が見える部屋の中に、彼女がまだいるかもしれない。
そんな妄想が、ふと頭をよぎった。
在宅勤務を装いながら、本当は——
自分だけの、秘密の時間を過ごしているのではないか。
誰にも邪魔されない、静かな部屋で、好きな服を着て、自由にくつろいでいるのではないか。
いや、違う。
もっと淫らで、もっと官能的な、そんな時間を——。
ホテルの一室。
airiは、スマホをベッドの上に放り投げ、制服の襟を丁寧に整えていた。
学生の頃に着ていたわけじゃない。
通販でこっそり買った、新品の制服セット。
白いシャツと、紺のプリーツスカート。首元には細いリボン。
「…うん、いい感じ」
鏡の前でクルリとひとまわりして、スカートの裾がふわりと揺れる。
鏡の向こうで微笑む自分に、少しだけ照れくさそうに頬を緩めたあと、airiはそのままベッドにダイブした。
「はぁ……幸せ……」
制服姿のまま、スマホをいじりながらゴロゴロと寝転がる。
スカートはすでに無防備にめくれ上がり、太ももと、ショーツのようなものがチラチラと露わになる。
ほんの少しだけ、ボタンを外したシャツの隙間から、肌がのぞく。
生地の張りつめた制服とは対照的に、airiの身体はしなやかで、柔らかそうで、妙に生々しい。
大人の女性が少女の格好をしている、そのギャップ。
それが、俺の想像に火をつける。
彼女は何かの動画を見ているのか、たまにクスっと笑ったり、指先で画面をスクロールさせたりしている。
けれど、脚の動きはだらしなく、気づけば膝が大きく開いて、スカートの奥が大胆にさらされていた。
見られていることを知っているのか、それとも本当に無自覚なのか。
シャツの裾を少し引っ張る仕草。
スカートを直そうとして、かえってめくれてしまう動き。
そんなひとつひとつに、airiという存在の「リアル」を感じてしまう。
——これは妄想だ。
でも、だからこそ、どこまでも自由に、どこまでも濃密に、彼女を感じられる。
airiはそのまま、スマホを横に置いて、仰向けになった。
両手を頭の後ろで組み、目を閉じる。
制服のまま、無防備に脱力した姿。
そして、そこからのぞくパンチラ。
それはもはや、偶然なんかじゃなかった。
自分だけの、密かな愉しみとしてairiが選んだ「解放」だった。
「見られる快感」ではない。
「自分であるための儀式」。
社会のなかで“ちゃんとした大人”を演じ続けてきた彼女が、
ようやく手に入れた、誰にも見せない“ほんとうの自分”。
その証が、この制服であり、
このベッドの上であり、
スカートの奥の、艶やかな布だったのだ。
俺はまた、あのホテルに行くだろう。
そして、同じフロアの自販機の前で、また彼女とすれ違うのを願う。
もちろん、言葉を交わすことはない。
名前を聞くこともない。
けれど、もし——
もしほんの一瞬でも、彼女がこっちを見て、ふっと笑ってくれたなら。
その笑顔ひとつで、また何度でも、俺はこの妄想の中に帰ってこられる。
そして今夜も、彼女はベッドの上で、制服のまま目を閉じている。
そのスカートの奥には、
誰にも許していないパンチラが——
ただ、静かに、眠っている。