[airi 妄想#005] ホテルで在宅勤務中、すべて脱ぎ捨てて、誰にも見せない声を漏らす

airiは、都内の会社で働く27歳のOL。

今日は在宅勤務のはずだった。でも、「どうしても家じゃ集中できないから」と、気分転換にビジネスホテルを予約したらしい。
フロントで手続きをする姿も、エレベーターに乗るときの後ろ姿も、何気ない動作のひとつひとつが妙に目に残った。

部屋の番号は、見ていない。見えるわけもない。
それでも、ひとりの妄想家にとっては、それで充分だった。

「今、彼女は何をしてるだろうか」

TシャツのままPCに向かっているのかもしれない。
あるいは、ベッドに腰かけて、コーヒーでも飲みながらスマホをいじっているかもしれない。
いや、もしかしたら——

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薄暗いホテルの部屋。
カーテンを閉め、外の光を遮ったその空間に、静寂だけが漂っていた。

airiは、ゆっくりと服を脱いでいった。
ボタンを一つずつ外し、肩を抜き、スカートのファスナーを降ろす音が、静かな部屋にわずかに響く。
最後に、胸元のインナーさえも脱ぎ捨てると、肌が少しだけ震えた。

──全裸。

けれど、そこに羞恥はなかった。
ただ、誰にも見せない、素の自分に戻っていくような、静かな開放感があった。

airiはベッドの縁に腰を下ろし、背筋を伸ばした。
その姿はまるで、舞台の幕が上がる直前のバレリーナのようだった。

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指先が、そっと脚をなぞる。
太ももの内側を、膝下へと這い、再び戻ってくる。
呼吸が、ほんの少しだけ早くなる。

胸元に手が伸び、指先で乳首を撫でる。
すぐに硬くなるその感覚に、airiは目を閉じた。

「ん……」

こぼれた声は、彼女自身でさえ驚くほど、やわらかく、甘かった。

そのまま、指はゆっくりと下腹部へと滑り落ちていく。

一度、そっと撫でる。
もう一度、じっくりと円を描くように。
やがて、少しだけ押し込むと、身体が微かに跳ねた。

「んっ……」

誰にも聞かせない、誰にも見せない声。

airiは、自分の感覚にだけ没頭していた。
鏡もスマホもない。
ただ、感覚だけに集中するという、贅沢な孤独。

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シーツの上で、脚が開かれ、柔らかな腰がゆっくりと揺れる。
指の動きが次第に速くなり、息遣いが荒くなるたびに、airiの身体は微かにきらめいた。

白い肌が、ベッドの灯りに照らされて淡く浮かび上がる。

「……もっと……」

小さな吐息が、唇から漏れるたびに、彼女の表情が変わっていく。

快楽の波が、ゆっくりと、でも確実に高まっていく。

そして──

「あっ……!」

声にならない声と共に、身体がぴくんと震えた。

その瞬間、世界が静止したように感じた。

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やがて、airiはそっとベッドに横たわり、胸に手をあてたまま、目を閉じた。
その表情は、とても安らかで、美しかった。

誰にも見せることのない、ひとりの女性の、たったひとつの“本音”。

──それを想像しただけで、僕の胸もまた、じんわりと熱を帯びていた。

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そして今も、
僕はただ、彼女がいたあのホテルの前を、
理由もなく通り過ぎていく——

まるで、夢の続きを探すように。