[riko 妄想#007] 誰もいない化粧室で、静かな背徳

俺はrikoを、街の片隅で一度だけ見かけただけだった。
それでも、その後ろ姿が、なぜか頭から離れない。
もちろん、俺の妄想の中の彼女は20歳を過ぎた大学生だ。

レンタルルームで卒論を進めるriko。
だが夜が更けると、勉強の集中は途切れ、
ひとりの女としての欲望に少しずつ引き込まれていく。

廊下に出た彼女の足音が、静まり返ったビルに響く。
——まずは距離。
俺は遠くから、その足取りを追う。
彼女は誰もいない化粧室のドアを開け、中へ入る。

鏡の前に立ったrikoが、ゆっくりと息を吐く。
——次に角度。
正面の鏡に映る彼女を、少し斜めから覗く。
白い指先が胸元のボタンに触れ、ひとつずつ外していく。

その間、彼女は沈黙を守る。
——そして沈黙。
ただ小さく喉が鳴る音、布の擦れる気配だけが耳に届く。
静かな緊張の中、彼女自身の身体の熱が高まっていくのが分かる。

「……見られてるの、分かってる」
そんな風に囁くような視線を、鏡越しに感じた。
合意を示すかのように、彼女は胸元を開ききり、
わずかに潤んだ瞳でこちらを見据える。

甘い匂いが鼻をくすぐり、
ほんのり汗ばんだ首筋の輝きが、目を奪う。
その瞬間、背徳と欲望が入り混じった世界に、俺は完全に沈んでいた。

静かな化粧室。
そこに響くのは彼女の浅い息づかいと、
解き放たれた官能の余韻だけだった。