俺が見たminamiは、まだ22歳の大人の女性だった。
もちろん、彼女はすべての接客を成人としてこなし、店でもホテルでも、自分の意思で動いている。
それが余計に、俺の胸をざわつかせる。
カフェの制服を脱ぎ、ホテルの部屋で髪を解く姿を想像すると、指先から伝わる温度まで感じる。
足首まで伝わる疲れ、シーツに沈む柔らかい体温、仕事終わりのシャンプーの香りがふわりと漂う。
彼女はきっと、ひとりでいる時間を大切にしているだろう。
その無防備な表情を、もしも目の前で見られたら——そう考えるだけで、胸の奥に熱が差し込む。
俺はそっと、彼女に声をかける妄想をする。
「今日は疲れたでしょ」
すると、彼女は微笑みながら「うん、大丈夫」と言ってくれる——そんな合意のやり取りを、俺の頭の中で繰り返す。
その微笑の奥に、接客中には見せない柔らかな素顔がある。
頬にかかる髪、赤みを帯びた耳、しっとりした肌。
まるで、都会に咲いた花のように儚い。
この妄想の中で、俺はただ隣に座っている。
肩先に触れそうな距離で、minamiの吐息を感じながら、何もせず、ただ見ているだけ。
彼女が自分の意思で俺を見返してくれる、その瞬間を待つ。
その時間が、どんな場面よりも官能的に感じられるのだ。
俺の心は、彼女の素顔を描くことで満たされていく。
そして気づく。これは現実ではない。
だけど、妄想の中でしか見えない景色がある。
その景色に誘われるように、俺は文字を綴る。