俺が彼女を最初に見たのは、あのガラス張りのロビーだった。
受付カウンターの奥、honoka——24歳。
丁寧で穏やかな笑顔の裏に、ふとした隙が見え隠れする。
それがどうにも忘れられなかった。
いま、彼女は就職活動の合間に、
あのレンタルルームでひとり過ごしているという。
偶然を装って通りかかったとき、
薄いカーテン越しに、白いシャツ姿の女性が見えた。
それがhonokaだった。
下着の上に羽織っただけのシャツ。
ブルマを脱いだあとの、妙に落ち着いた呼吸。
裸よりもずっと現実的で、
それでいて、どうしようもなく艶っぽい。
「こんな格好、変ですよね」
そう言って、彼女は少しだけ笑った。
声の調子も、仕草も、すべてが大人の余裕を帯びている。
「でも、なんだか落ち着くんです。誰もいないときだけ、こうしてるんです」
その言葉に、俺は何も返せなかった。
ただ、honokaが袖をたくし上げるたび、
白い肌に光が流れていくのを見ていた。
彼女は確かに、合意のもとでそこにいた。
大人同士の、静かな共有。
シャツのボタンがひとつ外れた。
空気が少し動き、柔らかな香りが鼻をかすめる。
柔軟剤と、女の体温がまざったような匂い。
それだけで、世界の輪郭がぼやけていく。
honokaは、目を細めながら言った。
「脱ぐよりも、こうしてるほうが、落ち着くんです」
その瞬間、彼女の頬をかすめた髪の先が、光を受けてきらめいた。
まるで、日常の中にこっそり潜む艶のように。
あの部屋を出たあとも、
俺の中では、あの白いシャツの揺れだけがずっと残っている。
それが、いちばん“エロい”瞬間だったのかもしれない。