reiraは23歳。
不動産の内見アシスタントとして、日々いくつものモデルルームを行き来しているという。
今日も、そのひとつ。
鍵を閉め、通知を切り、ふっと息をつく。
白ニットにベストを重ねた制服姿のまま、彼女はソファに腰を下ろす。
「この衣装、ちょっと恥ずかしいけど、どうかな…?」
そうつぶやいた声が、空気に柔らかく広がった。
その言葉に、僕は思わず頷いてしまいそうになる。
彼女の頬には少しの熱が宿っていて、
白いシャツの下、素肌に布が触れる感覚を確かめるように指先が止まる。
「大丈夫、ちゃんと自分で選んだの」
小さな声が、それが“合意”であることを確かに示していた。
ソファのクッションが沈むたび、
彼女の身体のラインがゆっくりと形を変える。
ニットの下に走る微かな呼吸のリズム。
それを見ているだけで、部屋の温度が少し上がるようだった。
reiraは、襟を整えながら目を閉じる。
ベストのボタンをそっと押さえる仕草が、
どこか自分を守るようで、同時に、何かを誘うようでもある。
その一瞬の静けさに、
僕は息を潜める。
素肌とシャツの間を流れる、淡い温もりを想像しながら。
彼女は誰に見せるでもなく、ただ自分の時間を楽しんでいる。
白い布の向こう、わずかな透け感の奥に、
柔らかい光が滲んでいた。
「もし見られてたら、どう思うかな」
彼女の小さな独り言に、心の奥がざわつく。
見てはいけない。けれど、目を離せない。
制服のまま、ソファに沈む彼女。
素肌に触れるシャツの冷たさに、息を吸い込むような音が混じる。
その音が、部屋の中でゆっくりと溶けていく。
僕はただ、見えない位置からその姿を想像する。
誰にも邪魔されない午後、
制服という仮面の下で、彼女が少しずつ“素”になっていく時間を。
そして、最後に残るのは、
白いシャツに映る淡い影と、静かな呼吸の音だけ。