隣の和室で作家が原稿を書いているあいだ、
俺は、ふと障子越しに見えた女性を思い出していた。
編集アシスタントのmei——26歳。
旅館の午後。
meiは布団の上に腰をおろし、少し疲れた様子でスマホを手にしていた。
畳に差し込む光が、彼女の頬に淡く反射して、
その表情をやわらかく照らしていた。
俺の中で“妄想の物語”はそこから始まる。
彼女はゆっくりと膝を立てて横になり、
布団に沈む体の重さを確かめるように腰をずらした。
その仕草があまりに自然で、
「もう少しだけ待たせてくださいね」と
どこか優しく言われたような気さえして、
胸の奥がふっと熱を帯びた。
スカートの裾がその動きに合わせて少しだけずれ、
かすかな布の隙間から、太ももの奥が覗く。
彼女は気づいていない。
いや、気づかないふりをしてくれているのかもしれない。
“見られてもいい”という合図のように思えてしまい、
その想像が心臓の鼓動をゆっくり速めていく。
布団の柔らかさに沈む身体。
スマホを操作する指先の細かな動き。
立てた膝の影が、太ももの内側に淡く落ちる。
俺はただ、目の前の光景を心の中でなぞりながら、
彼女がさらに気を抜いていく様子を想像してしまう。
——もし、このまま彼女が仰向けになって、
スマホを持つ手を緩めてしまったら。
——もし、軽く寝返りを打って、
スカートの奥がさらに開いてしまったら。
そんな“もし”が連続して浮かび、
和室の静けさの中で、鼓動だけが熱を放っていく。
meiは、午後の眠気がやってきたようにまぶたをゆっくり閉じた。
その一瞬、スカートの奥に影が走り、
布がふわりと広がる。
まるで「ここまでなら、見てもいいですよ」と
囁かれたような気さえした。
もちろんこれは妄想だ。
彼女の意思を尊重しながら、
彼女が“許した範囲”の無防備を楽しむだけ。
やがて彼女の胸がゆっくり上下するたび、
布団に触れた身体のラインが微かに変化していく。
腰の角度、足の曲がり、指先の緩み。
そのどれもが官能を呼び起こすには十分だった。
クライマックスは言葉にしない。
彼女の吐息のように淡く、
午後の光みたいに儚く、
そっと余韻だけを残して終わらせる。
俺はただ、その余韻の中で、
続きを見たくてたまらない衝動を抱えたまま息をつく。
そしてゆっくり——クリックしたくなる。