[mei 妄想#007] 浴衣のすそからこぼれる、旅館の午後 ― その油断に触れたくて

作家の見張り役として旅館に来ている——

和室に差し込む午後の光の中、
浴衣姿のmeiが布団の上に腰をおろす。
その動きは静かで控えめなのに、
目を奪われるほど色を帯びていた。

シャワーを浴びたあとの髪が、
首筋にしずくをつたわせている。
その細い水跡が、畳の香りと混じって、
不思議な甘さを空気ににじませる。

「少し休んでもいいですよね?」
そう尋ねられたときの、柔らかな声。
その声に、僕はゆっくりうなずいた。
そのうなずきが、互いの合意であることを
自然に確認するように。

浴衣の帯がゆるく結ばれていて、
動くたび、すそのすき間がわずかに揺れる。
その揺れが目の前で起こっていることを意識すると、
胸の内側がじんと熱を帯びていく。

スマホを胸元に置いたまま、
meiは静かに画面を眺めていた。
けれど、指先の動きが時々止まる。
その一瞬の“溜め”が、やけに色っぽい。

畳の上に伸びた脚が、
浴衣の布を押し広げるようにしてのぞく。
スネに光がすべって、
その肌の温度まで想像してしまう。

作家が隣で原稿と格闘しているというのに、
こちらの部屋ではまるで時間が緩み、
息遣いまでゆっくりほどけていく。

「なんだか…ぼーっとしちゃいますね。」
meiがそう言って微笑む。
その笑みには、
わずかに甘い火照りが宿っていた。

浴衣の胸元を指でそっと整える仕草。
その仕草が逆に視線を誘う。
わざとではないのに、
どこか“誘われている”ように感じてしまう。

そして、午後の光が彼女の頬を照らしたとき、
濡れた前髪が貼りついた一筋がきらりと光った。
その細い光だけで、全身が熱くなるようだった。

静けさの中に、
彼女の呼吸のふくらみだけがはっきりと感じられる。
その柔らかな上下のリズムにあわせて、
僕の想像も深いところへ沈んでいく。

浴衣のすそ。
崩れた帯。
畳に落ちる淡い影。

そのすべてが、
理性より先に心を動かしてしまう。

そして、僕は思う。
もし、この続きを見ることができたなら——
そんな願望を抱いてしまうほど、
この光景は甘く、刺激的だった。

クライマックスの余韻のように、
旅館の午後は静かに、ゆっくりと流れていく。
その静けさに包まれながら、
想像だけが深く深く落ちていく。