[riko 妄想#003]“推し”が出演する舞台の前に、裸でオナニー

午後の光が薄くカーテン越しに差し込むホテルの一室。
開演まで、まだ時間はある。
荷物を片付け、ベッドに腰を下ろすと、旅の緊張が少しずつほぐれていく。
窓の外には、都会の雑踏とビルの谷間に沈みゆく陽の色。
その眺めは彼女に、ほんの少しの孤独と、自由を同時に感じさせていた。

ベッドに背を預け、靴を脱ぎ、ワンピースの裾を指先でなぞる。
視線は天井に向けられているのに、心の奥では別の映像が流れ始める。
推しが舞台で見せる眼差し、低く響く声。
その記憶の断片が、胸の奥で熱を生み始めた。

「……あつい」
小さくつぶやき、rikoはワンピースのファスナーをゆっくりと下ろす。
肩から布が滑り落ちると、下着のストラップが現れ、
次の瞬間にはそれも外れて、白い肌が空気に触れた。

立ち上がることなく、彼女は静かに服を脱ぎ進めた。
やがてスカートも足元に落ち、ブラもパンティもベッドの端に置かれる。
部屋には裸のrikoだけが残った。

カーテンの隙間から差し込む光が、彼女の輪郭をやわらかく照らす。
首筋から胸元へと滑る陰影、ゆるやかなカーブを描く腰のライン。
すべてが、ため息を誘うほど美しい。

ベッドに横たわると、シーツの冷たさが背中を走り抜ける。
その感触さえ、今は心地いい。
胸の先がひやりとし、思わず肩をすくめる。
そして、右手がゆっくりと胸へ向かった。

指先がそっと触れた瞬間、かすかな吐息が漏れる。
軽くなぞるだけで、そこから甘い痺れが広がっていく。
左手は腹部を通って、太ももの内側へ。
肌と肌が触れ合うたび、鼓動が速まる。

目を閉じれば、そこには推しの姿がある。
舞台の上で見せた真剣な眼差し、
観客席に向けられた微笑み。
「もし、この距離で…」
そんなあり得ない想像が、指先の動きをさらに熱くさせる。

胸を愛撫する右手と、
下腹部へと降りていく左手。
やがて指先は柔らかな中心にたどり着き、
ゆっくりと小さな円を描き始めた。

「ん……」
息が詰まり、首がわずかに反る。
腰がシーツの上でわずかに浮き、脚が震える。

部屋は静まり返っている。
聞こえるのは、彼女の呼吸と、シーツがわずかに擦れる音だけ。
その静けさが、彼女の背徳感をかき立てる。

片膝を立て、さらに奥へと指を進める。
その動きに合わせて胸が上下し、汗がこめかみを伝う。
呼吸は浅く、時折、短い声が漏れる。
「…っあ……」

妄想の中で推しは、彼女を見下ろしている。
舞台の照明のような眼差しで、すべてを受け入れるように。
その幻影が、彼女をさらに深いところへ導く。

背筋に震えが走る。
指先の動きが速くなり、脚がシーツの上で絡まる。
胸の奥からせり上がる波が、もう抑えられない。
そして——
全身がふっと軽くなる瞬間、声にならない声が喉の奥でほどけた。

rikoはしばらく動けずに、天井を見つめていた。
胸はまだ上下し、指先には余韻が残っている。
汗ばむ肌に、冷たい空気が触れて心地いい。

やがて彼女はゆっくりと体を起こし、乱れた髪を整える。
床に落ちた服を手に取り、ひとつずつ身にまとっていく。
清楚なワンピースに袖を通すと、
さっきまで裸だった自分が嘘のように思えた。

鏡の前に立つと、そこにはいつものrikoがいた。
静かで、整った表情。
けれど、その奥には誰にも知られない熱が潜んでいる。

バッグを手に取り、ドアへ向かう。
舞台の開演まで、あと少し。
さっきまでの秘密を胸にしまい込み、
彼女は都会の夜へと歩き出した。