[ruri 妄想#005] 制服コスプレ、胸元はだけて感じてる

ビルの屋上の扉を開けた瞬間、強い風がruriの髪を乱した。
午後の陽射しはやわらかく、空はどこまでも高い。
下からは繁華街のざわめきがかすかに届くが、この屋上には、彼女ひとりしかいなかった。

制服のスカートが風にあおられ、ふわりと揺れる。
ruriはブレザーの袖を押さえながら、コンクリートの端まで歩いていく。
フェンス越しに見下ろす街は、小さなジオラマのようで、どこか現実感がなかった。

「…誰も、いない」

確認するように呟いた声は、風にさらわれてすぐに消えた。

この屋上は、ビルの管理人に顔を覚えられてから特別に開けてもらえるようになった場所。
講義やアルバイトの合間にふらりと訪れ、ただ空を見上げる時間が好きだった。
でも今日は、それだけじゃなかった。

胸の奥で、どうしようもない衝動がうずいていた。
――見られていない場所で、少しだけ“悪いこと”をしてみたい。

ブレザーのボタンを外し、シャツの胸元へ指先をかける。
ひとつ。
またひとつ。
風が入り込むたび、肌に冷たい刺激が走り、全身が敏感になる。

「…あ…」
思わず声が漏れる。

胸の谷間に吹き込む風は、ただの自然現象のはずなのに、まるで誰かの手が撫でているようだった。
フェンスの向こうには何百という視線があるはずなのに、この高さと距離が、それらを安全な妄想へと変える。

――もし、この姿を見られたら。

ruriは胸元をさらに開き、制服の下に隠していた下着が露わになっていく様子を、自分でも直視できずにいた。
でも、その恥ずかしさが、熱に変わっていく。

「なんで…こんなに…」

両腕で胸を抱きしめるようにしても、風は容赦なく隙間から滑り込む。
髪を乱し、スカートを揺らし、白いシャツをはためかせる。

瞼を閉じると、昼間、街中ですれ違った男性の姿が浮かんだ。
あの落ち着いた眼差しが、今この胸元に注がれているような気がする。

風の音が、まるで耳元で囁く声に変わっていく。
「見せてごらん」
そんな言葉が、本当に聞こえた気がして、ruriの指先は自分の肌を確かめるように撫でた。

――屋上、制服、胸元、そして強い風。
そのすべてが混ざり合って、背徳的な快感を形作る。

シャツの裾が大きく揺れ、胸が完全に露わになる瞬間、彼女は小さく息を呑んだ。
頬は熱く、唇はわずかに開き、瞳は潤んでいる。

「……やっぱり、好き」

誰もいないはずなのに、誰かに見られている錯覚。
そのスリルと心地よさは、ruriを屋上から離れられなくさせる。

やがて、ボタンを留め直しながらフェンスに背を預けたruriは、風の中でひとり微笑んだ。
また、この場所に来てしまう――そう確信しながら。