彼女の堅実で真面目な笑顔。
記憶の中で色鮮やかに揺れている。
深夜。その部屋には誰の声も届かない。
淡い街灯だけが、カーテンの隙間から静かに差し込んでいる。
mikiはそこにいる。
ベッドにそっと倒れこみ、だらりと手足を伸ばし、重力にまかせた脱力の形をつくっている。
スカートはその重みでほんの少しだけ浮き、裾の内側から白く滑らかな太ももがちらりと見える。
その無防備な仕草に、僕の心は静かに崩れていく。
もしも、あの子がこんな姿を見せてくれたら——叶うはずのない、でもどうしても想像してしまう妄想。
あの夜、すれ違っただけの彼女の笑顔に、僕はこんなにも引かれていたのだ。
映像ではない、言葉でもない、ただ存在する彼女の“気配”が、甘く刺激する。
ベッドのシーツに触れた肌の感触。
カーテン越しに届くかすかな湿り気。
呼吸は穏やかで、耳をすますとその響きだけで満たされるようだ。
部屋の中にはmikiしかいないはずなのに、彼女の無防備さが、ひとり僕に「見られているかもしれない」という飢えを呼び起こす。
見てはいけない。
だけど、見たくて仕方がない。
そんな複雑な気持ちが、自分を蝕んでいくのがわかる。
初めて目が合ったあの夜のことを思い出す。
礼儀正しく微笑む横顔だけで、言葉も交わせなかったあの瞬間。
だからこそ、今、ベッドで無防備に寝そべっている彼女を想像せずにはいられないのだ。
体の隅々にまで広がる甘い切なさ。
胸の奥で膨らむような官能。
カーテンの揺らぎ、夜の静謐さ、そして彼女の吐息。
すべてが僕の妄想のキャンバスに溶けていく。
まるで、僕だけがその姿を知っているかのような錯覚。
スカートの中で踊る影が、何とも言えず愛おしい。
夜が深まるほどに、想像はただ甘く、ただ切なくなる。
もしも、と思うだけで、胸がいっぱいになる。
君は、こんなにも美しいのかと、自分の中で呟く。
それは亡霊のように、繰り返し響いた。
すべては、ひとときの妄想。
しかし、彼女のことを「ただ見ていたい」という気持ちは紛れもなかった。
その無防備な姿さえも、僕には美しいと思えた。
遠くても、会えなかったからこそ、胸に焼きついたのかもしれない。
ロマンティックで、切ない。
しかしどこか温かい時間。
mikiの姿は、ただそこにあるだけで、僕の想像を満たしてくれる。
ひとりでベッドに横たわる彼女に対する、この静かな恋心。
それは僕の胸の中で、いつまでも消えない。