[hina 妄想#004] 卒論企画の構想中、ソファで見せた無防備な横顔

静まり返ったレンタルルームの午後。
レースのカーテン越しに柔らかな光が差し込む中、hinaは静かにソファに体を預けていた。
手元には数枚のプリントとメモ用紙。スマホもPCもないその姿に、彼女の本気が垣間見える。

「“自分を表現する映像作品”かぁ……」

そう小さく呟いたような気がした。
目を細め、資料に視線を落とす表情は真剣で、でもどこか穏やかだった。
都会の喧騒から切り離された、ひとりきりの空間。彼女だけの、静かな時間。

スカートの裾がふとめくれ、白く伸びた太ももがわずかに覗く。
その無意識の仕草に、胸がざわついた。
決して挑発ではない、むしろ無防備であるがゆえに、どうしようもなく惹きつけられてしまう。

脚を軽く組み替えるたび、スカートが揺れる。
そのたびに目を逸らしそうになりながらも、心は彼女から離れなかった。
展示会で見かけたときのhinaとは、まるで別人のようだった。

彼女は、誰のためでもない“演技”をしている。
いや、演技ではないのかもしれない。
誰にも見せない素の自分を、卒論の課題として、カメラの前で見つめようとしている。
そのことが、たまらなく美しく思えた。

資料をめくる手が止まり、ふと天井を見上げるhina。
小さく息を吐いたその瞬間、時間が緩やかに溶けていくようだった。

俺はただ、遠くからその姿を想像しているだけ。
彼女のことを何も知らないし、話しかけたこともない。
でも、もしも——
もしも、あの部屋の隅に小さなカメラを置いて、彼女の姿をずっと見ていられたら。
そんな叶わぬ妄想が、静かに胸を満たしていく。

もちろん、全部俺の妄想だ。
だけど今この瞬間だけは、彼女はあのソファの上で、誰にも見せない横顔を俺にだけ見せている。
そんな気がして、目を閉じた。