地元では、忙しい毎日に追われ、恋愛からはいつのまにか遠ざかっていた。
そんな彼女にとって、東京出張は、ほんの少しだけ日常から解き放たれる“隙間”だった。
展示会で多くの人と接する中で、nanaの心を揺らす男性が現れた。
名刺交換の一瞬、落ち着いた声と、穏やかに笑う目元。
それは、地元では出会ったことのない、どこか余裕のある雰囲気だった。
──東京の人って、こんな感じなんだ。
そう思いながらも、昼休みにホテルに戻った彼女は、そっとバッグから名刺を取り出した。
部屋の明かりに照らされたそのカードを、まるで宝物のように指先でなぞる。
白いシーツの上に腰を下ろし、深く息を吐く。
脚を崩して楽な姿勢になると、アイボリーのスカートがふわりと広がり、太ももがわずかにのぞいた。
ポロシャツの胸元には、外を歩いた余韻がまだ残っていて、うっすらと汗ばんでいる。
スカートの裾を指先で直す仕草が、どこか無防備で、艶かしい。
nanaはゆっくりと脚を伸ばし、反対の脚を重ねる。
それだけで、スカートの奥がちらりと覗く。
彼女にその自覚はない。
けれど、その“無自覚”こそが、男の想像を掻き立てる。
彼女は誰にも見られていないはずの部屋で、ゆっくりとシャツのボタンに指をかけた。
ひとつ、またひとつと外していく。
中から覗いたのは、レースの淡い下着。白い肌が、柔らかく照明に浮かび上がる。
──あの人、今ごろ何してるんだろう。
自然とそんな言葉が、彼女の唇からこぼれる。
そう。
彼女は、さっき会った“あの人”のことを思い出していた。
名刺の名前、声のトーン、近くに立ったときの体温のような気配。
ふいに、自分でも気づかぬうちに、心の奥が熱を帯びていた。
指先が、自分の太ももをなぞる。
その手は、するすると内側へと滑り込んでいく。
ベッドの上で、シャツの裾をまくりながら、nanaは目を閉じた。
まつげが微かに震えている。
想像の中で、名刺をくれたあの男性が、自分の手を取る。
そんな妄想が、彼女の中で静かに膨らんでいく。
「はぁ……」と小さく息を吐いて、ポロシャツの裾をふわっと整える。
脚を崩すと、アイボリーのスカートの奥から、ちらりと下着が覗いた。
生地の陰からわずかにのぞく、パンティ。
風もないはずの室内で、なぜかそのスカートが、またふわりとめくれる。
nanaにその自覚はない。
けれど、その“気づいていない無防備さ”が、こちらの想像をいやでも掻き立てる。
ポロシャツの袖口から覗く腕は、外気の熱にまだ火照っていて、指先でうなじを払うしぐさすら艶やかに見えた。
また、スカートの裾がずり落ち、今度は反対側の太ももが露わになる。
それでも本人は、まるで気にする様子もない。