俺が勝手に妄想しているhinaは、22歳の大学生だ。
春からは社会人になるという。
レンタルルームのソファに腰をかけたhinaが、制服のスカートの裾を直す。
そのとき、ふっと立ちのぼる洗い立ての布地の香り。
俺は目の前にいないはずなのに、まるでそこに座っているような感覚に囚われる。
「ちょっと照れるけど…こういう自分も表現の一部だから」
そう言って笑う声が耳に残る。
彼女は演じることで、自分自身を解放しているのだと伝わってくる。
ソファに沈み込む音。
制服の袖口を指で整える細やかな動き。
目線を落とすと、頬にかかる前髪が微かに揺れた。
その仕草一つひとつが、現実のhinaと妄想のhinaを重ね合わせていく。
俺の想像の中で、彼女は演技をやめない。
脚を組み替えるときに、スカートがわずかに浮く。
その奥に広がる温度を感じて、思わず息を呑む。
彼女は俺の視線に気づいているのか、柔らかい笑みを返す。
「ねぇ、ちゃんと見てて。これも私だから」
その言葉に、胸の奥が熱を帯びていく。
俺はただ頷き、彼女の声に耳を傾ける。
合意のうえで交わされる視線と仕草に、甘い緊張が走る。
やがてhinaは制服の襟元を指先で軽くつまみ、深く息を吸い込む。
その瞬間、部屋の空気ごと一変する。
演じることと素顔とが境目を失い、彼女自身の鼓動が空間に響いていく。
俺は彼女の姿を見つめながら、妄想の熱に包まれていく。
ソファに置かれた小さな手。
布地越しに伝わる温かさを想像するだけで、全身が反応してしまう。
その余韻は、静けさの中に長く残り続ける。
制服姿のhinaが見せてくれた“もうひとりの自分”。
俺の妄想の中では、その光景がいつまでも鮮やかに再生されるのだった。