[honoka 妄想#002] 歩くだけなのに、彼女は全部を揺らしてくる

俺がこの妄想を抱いたのは、honokaという女性を街で見かけた瞬間だった。
彼女は24歳。元・受付派遣OLで、今は就職活動中らしい。

凛とした立ち姿なのに、歩き出した途端、彼女の輪郭はやわらかくほどける。
ほんのわずかな揺れが、俺の目を奪って離さない。

あの部屋でhonokaはどう振る舞うのだろう。
俺の想像の中では、彼女はソファの前を何度も往復している。
自分ではただ歩いているつもりなのだろう。
けれど、その歩みは俺には別の意味を持つ。

スカートの裾が、わずかに跳ねる。
太腿の白さが光を拾い、きらりと浮かぶ。
彼女は気づかないふりをしているのか。
それとも、見せてしまったことをわざと忘れようとしているのか。

「…見られてる気がする」
そう呟いたhonokaが、小さく笑う。
その笑みは拒絶ではなく、受け入れる合図に思えた。
俺はそこで一歩踏み込む。
「大丈夫。俺だけしか見ないから」
その言葉に、彼女はかすかに頷いた。

香りが漂ってきた。
洗剤の清潔な匂いに混ざる、肌そのものの温もり。
耳の奥で、心臓の音が重なって鳴る。
俺は視線を逸らすことができなかった。

彼女がまた歩き出す。
わずかな布の揺れさえ、挑発のように映る。
ほんの一瞬のきらめきに、全身が熱を帯びる。
それが妄想であっても、俺には現実以上の鮮烈さだった。

そして、honokaは立ち止まり、振り返った。
視線が交わる。
沈黙の中で、俺は確信する。
彼女はすべてを分かっていて、受け入れている。

妄想は、そこでクライマックスを迎える。
余韻の中で、彼女の姿が脳裏に焼きついて離れない。