俺がこの妄想を抱いたのは、honokaという女性を街で見かけた瞬間だった。
彼女は24歳。元・受付派遣OLで、今は就職活動中らしい。
凛とした立ち姿なのに、歩き出した途端、彼女の輪郭はやわらかくほどける。
ほんのわずかな揺れが、俺の目を奪って離さない。
あの部屋でhonokaはどう振る舞うのだろう。
俺の想像の中では、彼女はソファの前を何度も往復している。
自分ではただ歩いているつもりなのだろう。
けれど、その歩みは俺には別の意味を持つ。
スカートの裾が、わずかに跳ねる。
太腿の白さが光を拾い、きらりと浮かぶ。
彼女は気づかないふりをしているのか。
それとも、見せてしまったことをわざと忘れようとしているのか。
「…見られてる気がする」
そう呟いたhonokaが、小さく笑う。
その笑みは拒絶ではなく、受け入れる合図に思えた。
俺はそこで一歩踏み込む。
「大丈夫。俺だけしか見ないから」
その言葉に、彼女はかすかに頷いた。
香りが漂ってきた。
洗剤の清潔な匂いに混ざる、肌そのものの温もり。
耳の奥で、心臓の音が重なって鳴る。
俺は視線を逸らすことができなかった。
彼女がまた歩き出す。
わずかな布の揺れさえ、挑発のように映る。
ほんの一瞬のきらめきに、全身が熱を帯びる。
それが妄想であっても、俺には現実以上の鮮烈さだった。
そして、honokaは立ち止まり、振り返った。
視線が交わる。
沈黙の中で、俺は確信する。
彼女はすべてを分かっていて、受け入れている。
妄想は、そこでクライマックスを迎える。
余韻の中で、彼女の姿が脳裏に焼きついて離れない。