[aoi 妄想#006] 専門学校職員の彼女、メイド服のまま無防備に沈む午後

彼女を初めて見たのは、専門学校の受付だった。
医療系の校舎の一角で、白いカウンター越しに微笑んでいた。
あの落ち着いた声と、視線を外すときの照れたような仕草が忘れられなかった。

仕事を終えたあと、彼女は誰にも知られずに別の顔を持っていた。
その夜、偶然ネットで見つけた裏アカウント。
そこに映るのは、あのaoiがメイド服を纏って座る姿だった。
黒いリボン、白いフリル。
普段の清楚な印象とはまるで違う。
その“裏”の彼女を見てしまった瞬間、胸の奥で何かが弾けた。

——同じ世界にいたい。
——あの静けさの中に入り込みたい。

想像の中で、俺はそっとその部屋を覗き込む。
柔らかな光の中、aoiは撮影を終えたあと、カメラを切っていた。
誰に見せるでもない、オフの表情。
その頬にはうっすらと紅が残り、唇が微かに開いている。

「今日はもう終わり…」
そう呟いたあと、ソファに身を預ける。
黒いスカートがふわりと広がり、
レースの袖から覗く手首が、かすかに震えていた。

俺は想像の中で彼女に近づく。
「少しだけ…見せてくれる?」
そう言うと、aoiは小さく頷いた。合意の気配。
視線が合った瞬間、互いに息を潜めた。

その距離に触れるような空気が満ちていく。
甘い香りが漂い、彼女の頬を撫でるように流れる。
メイド服の襟元に指を添えると、布の温度が伝わってくる。
彼女は静かに目を閉じ、吐息をこぼした。
まるで「このまま、少しだけ」と言っているように。

胸の奥に熱が溶けていく。
誰も知らない、二人だけの午後。
それは現実よりも確かな“妄想の手触り”だった。

そして俺は、そっと目を開ける。
そこにはもう誰もいない。
ただ、スマホの画面に映るaoiの笑顔だけが残っていた。