[reira 妄想#007] 鏡の前、素肌にシャツ

俺が見たのは、reiraがモデルルームで待機していた日のことだった。
23歳、社会人になってまだ数年。

その日は撮影のための衣装テストだと言っていた。
白いニットの上からベストを重ねて、
小物を合わせながら、少しずつ表情を変えていく。

テーブルの上に鍵束を置く音が響く。
通知をオフにして、室内に静寂が降りる。
その瞬間から、あの部屋は彼女のためだけの空間になる。

reiraは、ふと鏡の前に立った。
ブラウスのボタンを外し、ゆっくりとシャツを滑らせる。
下着をつけずに袖を通すとき、
生地が肌に触れて、わずかに息を呑むのが見える気がした。

「こんな感じ、どうかな…」
そう小さく呟きながら、自分の姿を確かめるように笑う。
その声には、緊張と、どこか確かな自信が混ざっていた。

俺は、ただその光景を想像していた。
シャツの裾がふわりと揺れ、光が彼女の肌に沿って滑る。
ボタンを留める指先の動きが、妙に丁寧で、艶っぽい。

「見られてるみたい」
そう呟いて、彼女は鏡に目を合わせた。
まるで、俺の妄想を見透かしているようだった。

その瞬間、胸の奥がじんと熱くなる。
誰もいない部屋。
でも、鏡の中では確かに“ふたり”がいた。

シャツの襟を整えた彼女は、
もう一度、深く息を吸い込んでから笑った。
その笑顔が、なぜか焼きついて離れない。

あの白い光の中で、
彼女は自分の“素肌”と向き合っていたのかもしれない。
俺が想像するよりも、もっと静かに、もっと真剣に。