[reira 妄想#010] ソファで、制服のまま──素肌にシャツ

俺が最初にreiraを見たのは、会社近くのモデルルームだった。
白ニットの上にベストを重ねた姿。
不動産の内見アシスタントだと名札で知ったけれど、その清潔さと素肌の気配が、妙に頭から離れなかった。

彼女は23歳。
「今日は撮影テストなんです」
そう言って笑ったときの声が、やけに近くで響いた。

その日、部屋に残されたreiraは、撮影用の衣装を確かめるふりをしていた。
俺は管理人という名目で、少し離れた場所からその様子を見ていた。
彼女は鍵束をテーブルに置き、スマホの通知を切る。
音のない部屋で、白いシャツが空気を撫でる音だけが響いた。

そのシャツの下に、下着がないことを俺は知らないふりをしていた。
彼女の指が胸元に触れ、布がわずかに波打つ。
ベストの縁が肌にかかり、呼吸とともに上下する。
その光景は、ただの“衣装テスト”という言葉では片づけられない。

「この生地、意外と気持ちいいんですよ」
そう言って、reiraはシャツの袖を軽く引いた。
彼女の声には、少しだけ照れと確信が混ざっていた。
合意のように、俺は小さくうなずいた。
「似合ってる。……そのままでいいと思う」

その瞬間、彼女の頬にわずかな熱が宿る。
視線を外すと、シャツの隙間からのぞく素肌が目に焼きついた。
柔らかく沈むソファ。
そこに身をあずけた彼女は、何かを確かめるように深く息を吸い、ゆっくりと吐いた。

シャツの布が彼女の素肌に沿って動くたび、微かな擦れる音が部屋の中に広がる。
俺の耳には、それがまるで彼女の心音のように聞こえた。
沈黙の中で、彼女はふと目を閉じ、静かに笑う。
それだけで、部屋全体がひとつの物語になった。

彼女は何も言わず、ただ襟を直していた。
その動きにこそ、言葉にならない“了承”があった。
午後の光がベストのボタンに反射して、柔らかな影をソファに落とす。
その美しさが、しばらく俺を動けなくさせた。

あのときのreira。
あの表情を、もう一度見たい。
たぶん、それが俺のいちばん正直な願いだ。