[yuna 妄想#007] 合宿の夜、和室で待ち続けるまなざし

俺はあの夜のyunaを、今でもはっきりと思い出せる。
大学のダンスサークルの合宿。
畳の部屋に灯る白い蛍光灯の下、彼女は一人で座っていた。

皆が風呂や散歩に出かけた後の、静まり返った古民家。
障子の向こうには虫の声。
俺がそっと襖を開けたとき、yunaは驚いたように顔を上げた。

「……来ると思ってました」
その声が、どこか震えていた。
俺はただ「いいか?」とだけ尋ねた。
彼女は小さくうなずき、布団の端を整えた。

ほんの一歩近づくたびに、畳の香りと、柔軟剤の甘い匂いが混ざる。
その空気の中で、yunaの指先がかすかに震えていた。
触れるか触れないかの距離で、互いの呼吸が交わる。

「もう少し、そばにいてもいい?」
俺の言葉に、彼女は目を閉じた。
その表情には、ためらいと、確かな同意があった。

外では誰かの笑い声が遠くに響く。
でも、ここだけが別の時間みたいに静かだった。
彼女の頬を照らす灯りが、やわらかく揺れる。

その瞬間、yunaが視線を上げた。
その目に映っていたのは、期待と、少しの不安。
けれど、逃げる気配はどこにもなかった。

そっと彼女の肩に手を置く。
熱が伝わり、畳の上に影が重なる。
ほんの一瞬、世界が溶けるような静けさが訪れた。

——あの夜のyunaは、確かに俺を待っていた。
その眼差しを思い出すたび、胸の奥がざわめく。
あの合宿の夜は、今もどこかで続いている気がする。