[yuna 妄想#012] 浴衣のすそが揺れて、ふと見えた素肌

あの夜のyuna。
大学の合宿で、都内の古民家に滞在していると聞いた。
みんなが練習に出て、部屋にひとり残っている時間——
その一瞬を想像するだけで、胸の奥がざわめく。

畳の上に置かれた正座の姿勢。
浴衣の裾がわずかに揺れて、白い膝が覗く。
その隙間を見た瞬間、心の中で小さな音がした。
彼女は気づいているのか、いないのか。
でも、あの頬の紅は確かに本物だった。

「誰も見ていないはずなのに……」
そう呟くように唇が動く。
扇風機の風が襟足の髪を揺らして、
その香りがこちらまで届くような錯覚に陥る。

yunaは大人の女性として、自分の身体をよく知っている。
けれどその知識を持ちながら、まだどこか無防備なまま、
畳に手をついて息を整える仕草が愛おしい。

僕は妄想の中で、襖を少しだけ開けてみる。
その向こうで、彼女はゆっくりこちらを見た。
驚いたように目を瞬かせ、それでも逃げなかった。

「……来てくれたんですね」
その言葉に、確かな合意の気配を感じた。
すべてが想像のはずなのに、
その瞬間だけ、現実よりも鮮やかに感じられた。

彼女が少し前に出て、浴衣の裾がふわりと開く。
畳の上を滑るようなその動き。
帯の結び目に触れた指先が震えたとき、
僕の呼吸も自然と浅くなっていく。

触れることはない。
ただ、視線だけがそっと彼女に重なる。
光の粒が肌をなぞるように反射して、
その一瞬ごとに世界が柔らかく揺れていく。

音も声もない、静かな合宿の午後。
外の蝉の声が遠く響くなか、
ふたりの間に漂う空気が、少しだけ熱を帯びていく。

僕は心の中でそっと呟く。
「もう少し、このままで——」と。
yunaの目が細められ、その意味を受け取ったように見えた。

そして、浴衣のすそがもう一度、かすかに揺れた。
その光景を残したまま、妄想の幕は静かに降りていく。