[yuna 妄想#016] 網タイツのまま、布団の中で──

大学の合宿で泊まった古民家。
みんなが練習場に残っている時間、
俺はひとりで建物に戻ってきた。

木の階段を上がると、二階の奥の部屋から
小さな灯りが漏れている。
襖の隙間からのぞくと、そこにはyunaがいた。
二十歳を過ぎた彼女は、浴衣を脱ぎ、
網タイツのまま布団の上に正座していた。

その姿を見た瞬間、息が止まった。
彼女は、まるで誰かを待っているような表情をしていた。
指先で髪を整え、視線を落としたまま、
何かを考えているようだった。

「……戻ってきたんですか」
その声が、ふいに空気を震わせた。
俺は襖を開けるべきか迷ったが、
その一言が、まるで招かれているように聞こえた。

古民家の木の匂いと、彼女の淡い香りが混ざる。
布団の上に座ると、yunaが顔を上げた。
その瞳には、合意の光があった。
「…ちょっと、そばにいてくれる?」
その一言が、胸の奥に沈んだ。

網タイツ越しに見える脚のライン。
その繊細な編み目に、灯りがやわらかく反射している。
俺の手がわずかに動いたとき、
彼女は静かに微笑んだ。
その仕草だけで、言葉以上の合図が伝わった。

畳のきしむ音が、ゆっくりと部屋を満たす。
遠くの笑い声が、別世界の音のように遠ざかっていく。
彼女の肩越しに見える障子の光が揺れ、
その瞬間、時間が溶けていくのを感じた。

「これ、夢じゃないよね」
yunaがつぶやいた。
その声がやけに柔らかく、
夜の空気に吸い込まれていった。

俺は何も言わず、ただその隣にいた。
彼女の呼吸が、少しずつ深くなっていくのを感じながら。
そして、布団の中で、ふたりの影がひとつに滲んでいった。

あの夜のことを、今でも思い出す。
網タイツの模様と、古民家の匂い、
そして、彼女の静かな笑み。
全部が、まだこの胸の中に残っている。