[yuna 妄想#019] 網タイツのまま、誰かを待って

あの夜のことを、今でも鮮明に覚えている。
大学の合宿。
古民家の一室に残ったのは、練習後のyunaと、たまたま忘れ物を取りに戻った僕だけだった。

障子の向こうに、微かに人の気配。
声をかけようとして、思わず足を止めた。
襖の隙間から見えたのは、浴衣姿のyunaが静かに正座している姿。

網タイツの黒が、淡い浴衣の柄からわずかに透けていた。
思わず息を呑んだ。
それは挑発ではなく、まるで「気づいて」と言うような、
ひとりきりの時間に滲む無防備さだった。

彼女は僕に気づくと、少し驚いたように笑った。
「ここ、落ち着くんだよね」と言いながら、指先で髪を耳にかけた。
その仕草がやけに静かで、優しく響いた。

「少しだけ、一緒にいてもいい?」
そう尋ねると、yunaはゆっくりと頷いた。
合意のその瞬間、畳の匂いと、浴衣越しの柔らかい気配が、
妙に現実的に感じられた。

彼女の網タイツの編み目を、指でなぞるように見つめる。
肌の下で動く筋のように、息づかいが伝わってくる気がした。
声を出すこともなく、ただその空気の揺れを感じ合う。

古民家の古い時計が、カチリと時を刻むたびに、
二人の沈黙は深くなっていった。
触れるでもなく、離れるでもなく、
ただ「待つ」ことそのものが、甘く熱い時間だった。

ふと、彼女が小さく言った。
「…このままでいいよ」
その言葉に、すべてが報われたような気がした。

やがて外から笑い声が近づいてきて、
yunaはそっと襖の方を見た。
その視線の奥に、名残のような光が宿っていた。

あの夜の空気を、僕はいまだに覚えている。
静かで、少しだけ艶やかな時間。
それが、僕の中でずっと続いている。