[saya 妄想#003] スタジオの廊下を歩く無防備な一瞬 —清楚と裏側がふと重なるとき—

sayaは21歳。
撮影スタジオで見かけたその日、
俺は「ただの宣材撮影の待ち時間」だと思っていた。
けれど、廊下の空気が少し動いただけで、
胸の奥がざわつくような気配を残していった。

もちろん、これはすべて俺の妄想だ。

——そうでなければ、妄想であっても成り立たない。

控室の扉が開いて、
sayaがスマホを手に軽く息をつく。
その仕草が妙に自然で、
まるで「少しだけ見られてもいいよ」と
暗黙に許してくれているように見えた。
俺の勝手な都合のいい想像だけれど、
そう思った瞬間、身体の内側が熱を帯びた。

白い廊下をゆっくり歩く彼女。
スカートの裾が、小さく揺れるたびに、
目がそこに吸い寄せられる。
揺れの“深さ”を測るように、
呼吸が浅くなっていくのを自覚する。

スマホの画面に影が落ち、
sayaがうっすら唇をすぼめて息を吐いた。
その仕草が、昼の清純さとは違う、
夜の彼女の一面をふと連想させる。
撮影前の緊張かもしれないし、
単なる癖かもしれない。
でも俺には、
「少し見せてもいいよ」という
大人の含みを持った合図にしか見えなかった。

すれ違う瞬間、
ふわりと甘い香水が鼻をかすめた。
その香りに、背中を指でなぞられたような感覚が走る。
振り返れば、
彼女もまたわずかにこちらを見る。
その“わずか”が、やけに意味深に見えてしまう。

——勝手に見られているわけじゃない。
——彼女が、少しだけ許してくれた。

妄想とはいえ、そう思えるだけで、
足元がぐらつくような高揚がこみ上げてくる。

廊下の奥へと歩いていくその姿。
揺れる影。
指先からこぼれる光。
触れてはいないのに、
触れたときの温度が想像できてしまうほど、
彼女の存在感は強かった。

もし、あのとき足を止め、
こちらに真正面から目を向けていたら。
もし、「見てもいいよ」と
微笑んでいたとしたら。
妄想の中の俺はきっと、
理性の輪郭がにじむほどの熱を抱えていたはずだ。

スタジオの廊下に残ったのは、
すぐに消えてしまうはずの香りと、
身体の深いところに沈む余韻だけだった。

だけどそのわずかな余韻が、
今もこうして、
続きを想像させる。