風が押してくれる。「行っておいで」と。
階段の前。スマホを見る。
メッセージが来ている。
「階段登って。上で待ってる」
上を見る。長い階段。
さっきまで、迷っていた。
会うべきか、会わないべきか。
でも、もう決めた。会いに行くと。
スマホをバッグにしまう。
もう見ない。決めたから。
一歩、踏み出す。
階段に足をかける。迷いはない。
決断した後は、軽い。
また一歩。風が吹く。
「いいよ」と言ってくれている気がした。
階段を登る。一段ずつ。でも、速い。
迷いがないと、こんなに速く登れるんだ。
階段の途中。立ち止まる。
振り返る。ここまで来た。
もう、引き返せない。
いや、引き返さない。
決めたから。
また登る。風が背中を押してくれる。
「もう少しだよ」と。
迷いを捨てると、世界が変わる。
景色が、クリアに見える。
足取りが、軽くなる。
心が、自由になる。
頂上が見えてきた。
「もうすぐ」
心臓が跳ねる。でも、怖くない。
決めたから。
最後の数段。ゆっくり登る。
息を整える。髪を直す。
準備OK。
そして、着いた。頂上。
前を見る。
そこに、待っている人がいる。
こちらに気づいて、笑顔。
「来てくれたんだ」
その言葉に、全てが報われた気がした。
迷ったけど、決めて良かった。
この階段を登って、良かった。
風が吹く。最後に。
「よく決めたね」と。
頷く。ありがとう。
迷っている時間より、
決断した後の時間の方が、
ずっと軽くて、ずっと自由。
それを教えてくれた、この階段。