風が言ってくれた。「大丈夫だよ」と。
地下への階段。下を見る。
暗い。
上は明るい。でも、下は暗い。
本当に、降りていいのかな。
スマホを持つ。ライトをつけようかと思って。
でも、やめる。目が慣れるまで待とう。
一歩、踏み出す。
階段に足をかける。
風が上から吹いてくる。
「大丈夫だよ」と言ってくれた気がした。
また一歩。暗さに、少しずつ慣れてくる。
思ったより、見える。
完全な暗闇じゃない。薄明かりがある。
階段を降りる。一段ずつ。
上から光が差している。
だから、真っ暗じゃない。
でも、下に行くほど、暗くなる。
不安になる。
でも、止まらない。降り続ける。
なぜなら、目的地は下にあるから。
上にいても、着かない。
階段の途中。振り返る。
上が、明るく見える。
戻りたくなる。
でも、戻らない。もう降りたから。
また降りる。風が、まだ吹いてくる。
上から。「頑張って」と。
暗さに、完全に慣れた。
もう、怖くない。
足元が見える。手すりも見える。
大丈夫。降りられる。
最後の数段。下が見えてきた。
明かりがある。
「あ、明るい」
地下も、明るいんだ。
そして、着いた。地下。
思ったより、明るい。
蛍光灯が灯っている。
「良かった」
暗い階段を降りたけど、下は明るかった。
風が、最後にもう一度吹いてくる。
上から。「ほら、大丈夫だったでしょ」と。
頷く。ありがとう。
暗いところを通っても、
その先に、また光がある。
それを教えてくれた。
これからも、暗い道を通ることがあるかもしれない。
でも、怖がらない。
その先に、また光があるから。
風が、いつも教えてくれる。