チェックインを終えた彼女は、ホテルの部屋でひと息ついていた。
午後の光がカーテンの隙間から差し込み、ベッドの白いシーツにやわらかな影を落としている。
rikoは、ふうっと小さく息をついた。
舞台の開演は夜。それまでの数時間をどう過ごすか、特に決めてはいなかった。
ただ、旅先のホテルでこうしてごろごろする時間は、格別に心地いい。
脚を伸ばし、また縮める。
何も考えずに、ただ体を解放する。
ワンピースの裾が少しずつずれて、柔らかな太ももが白いシーツに触れる。
その感触が、わずかにくすぐったい。
——もし今、この光景を誰かが見ていたら、どう思うだろう。
自分でも気づかぬうちに、そんなことを考えていた。
もちろん、そんなことはあるはずがない。
この部屋にいるのは、自分ひとりだけなのだから。
俺は、その場面を想像する。
彼女がソファではなく、ベッドの上で脚を組み替えた瞬間、スカートの奥がわずかに開く。
ちらりと覗くのは、淡い色の下着。
それは決して挑発ではなく、ただの無防備さから生まれた一瞬。
だが、その一瞬に、どうしようもなく心を奪われる。
視線を外そうとしても、できない。
胸の奥で何かがじわりと熱を帯び、息が詰まる。
彼女は知らない。
その仕草が、見ている者の想像をどれほどかき立てるのか。
その清楚な瞳と無垢な脚の組み合わせが、どれほど危うい魅力を放つのか。
rikoは横になり、スマホを手に取った。
画面をスクロールする指先には、淡いピンクのネイルが光る。
その爪が、白いシーツの上を無意識になぞるたび、裾がわずかに揺れる。
そしてまた、あの柔らかな肌が覗く。
彼女の表情は穏やかだ。
特別な感情を見せているわけではない。
けれど、その静けさこそが、俺の妄想を深くする。
きっと彼女は、このあとメイクを整え、髪をとかし、舞台に向かう。
誰も知らない観客席の片隅で、推しを見つめるのだろう。
そしてホテルに戻れば、またひとり、静かな時間を過ごすのだ。
——もしかして今、あの部屋で、ひとりで淫らなことをしているのかもしれない。
そんなことを考えるのは、罪だろうか。
いや、妄想の中なら、許されるはずだ。
彼女はベッドの上で、膝を立て、脚をゆっくりと左右に動かす。
スカートの奥は、誰も知らない秘密の色をしている。
その秘密を覗くたびに、胸の鼓動が早まる。
まっすぐ見つめるのは、失礼だとわかっている。
でも、目が離せない。
あの子が、あんな姿を見せてくれるなんて——
妄想の中だけでも、奇跡だ。
舞台の開演まで、まだ時間はある。
rikoはベッドの上で横になり、脚を少しだけ重ね直した。
柔らかな太もも同士が触れ合い、かすかな温もりが広がる。
その表情は穏やかで、しかしどこか熱を帯びていた。
俺は、その光景をただ心の中で見つめていた。
彼女が気づくことのないまま、
そして、この妄想が終わらないことを祈りながら——。