[riko 妄想#002]“推し”が出演する舞台の前に、服を着たままオナニー

スマホを手に取り、舞台の公式SNSを開く。
推しの笑顔が画面いっぱいに広がる。
稽古中の短い動画、その合間に見せる素の表情。
見つめるうちに、胸の奥がじんわりと温かく、そして妙に落ち着かない気持ちになる。

ふと、彼女はスマホをベッドの脇に置いた。
背中をシーツに預け、長く息を吐く。
そして、自分でも驚くほど自然に、手がワンピースの上を滑っていった。

「何してるんだろ…」
そう思うのに、動きは止まらない。
太ももに触れる布越しの感触が、やけに鮮明に伝わってくる。
裾をそっと握りしめると、心臓の鼓動が速くなる。

頭の中に浮かぶのは、さっき画面で見た彼の笑顔。
舞台の上で役を生きる姿、低く響く声。
そのすべてが、今のrikoを熱くしていた。

指先が、ゆっくりと円を描く。
まだ服の上からなのに、そこから伝わる熱は確かだった。
ベッドの上で、片膝を少し立てる。
清楚なワンピースがわずかに波打ち、太ももの肌がちらりと覗く。

誰にも見せない表情が、少しずつ顔に浮かび上がる。
まぶたが重くなり、唇がかすかに開く。
静かな部屋に、自分の浅い呼吸だけが響く。

——もし今、この部屋に誰かがいたら。
そんな考えが頭をよぎる。
もちろん、あり得ない。
でも、あり得ないはずの想像が、逆に熱を煽る。

手の動きが、少しずつ速くなる。
裾を握る力が強まり、吐息がかすかに漏れる。
「……っ」
声にならない声が、喉の奥で震えた。

ほんの少し、腰が浮く。
布越しの刺激が、彼女の意識をどんどん深く沈めていく。
頭の中では、推しがすぐそばに立っている。
優しい目で見下ろし、そっと頬に触れるような錯覚。
その想像に身を委ねながら、rikoは自分の奥の奥を探る。

外では、車のクラクションが一瞬響き、また静けさが戻る。
その静けさが、余計に彼女の鼓動を大きく感じさせた。
脚がわずかに震え、腰が小さく揺れる。
指先の圧が強まるたび、胸の奥に熱がせり上がってくる。

「……あ…」
ごく短い声が漏れた。
それは誰にも届かない、秘密の音。