風が言った。「もう少しだよ。頑張って」と。
夕暮れの階段。光に包まれて。
登る。最後の力で。
今日を、終わらせに。
一歩、踏み出す。
階段に足をかける。重い足。
また一歩。疲れた。
でも、登る。
階段を登る。一段ずつ。
登りながら、思う。
今日も、長かった。
朝から、ずっと動いていた。
階段の途中。立ち止まる。
息を整える。疲れた。
でも、もう少し。
また登る。風が吹く。
「もう少しだよ」と。
「頑張って」と。
ありがとう。その言葉に、力をもらう。
光が、照らしてくれている。
後ろから。
道を、照らしてくれている。
「ほら、もう少しだよ」と。
頂上が見えてきた。
家のドア。
「もうすぐ」
最後の数段。
コートが、重い。
一日着ていたから。
でも、登り切る。
そして、着いた。家。
やっと。
鍵を開ける。
ドアを開ける。
ただいま。
コートを脱ぐ。
重さが、消える。
今日という重さを、脱いだ気がした。
風が、最後に吹いてくる。
外から。
「お疲れさま」と。
「よく頑張ったね」と。
頷く。ありがとう。
今日は、終わった。
疲れた。
でも、やり遂げた。
最後まで、登り切った。
明日は、新しい日。
また、階段を登る日。
でも、今日を終わらせられた。
それで、十分。
おやすみ、今日。
ありがとう、頑張った私。
そして、ありがとう、風と光。
最後まで、一緒にいてくれて。