風が聞いた。「戦いに行くの?」「ううん、帰ってきたの」勝ってきた。今日は。
夕暮れの階段。赤いリップを引いて登る。
朝、この赤を塗った時、決めた。
今日は、負けない、と。
そして、勝った。
一歩、踏み出す。
階段に足をかける。
勝者の足取りで。
また一歩。赤いリップが、誇らしい。
階段を登る。一段ずつ。
登りながら、思う。
朝は、不安だった。
でも、この赤を塗って、強くなれた。
鎧みたいに。
そして、戦った。
勝った。
階段の途中。立ち止まる。
空を見る。
夕暮れ。綺麗だ。
勝った日の夕暮れは、特別綺麗。
また登る。風が吹く。
「おめでとう」と。
ありがとう。勝ってきた。
今日は、私の日だった。
頂上が見えてきた。
「もうすぐ」
家に帰る。
勝利を持って。
赤いリップと一緒に。
最後の数段。
コートが、風で揺れる。
でも、私は揺るがない。
勝ったから。
そして、着いた。頂上。
振り返る。
登ってきた階段。
夕暮れに照らされている。
綺麗だ。
風が吹く。最後に。
「その赤、よく似合う」と。
「勝者の色だね」と。
笑う。ありがとう。
赤いリップは、私の武器だった。
そして今は、勝利の証。
毎日、勝てるわけじゃない。
負ける日もある。
でも、今日は勝った。
だから、この赤が誇らしい。
この階段が、見届けてくれた。
私の勝利を。
私の帰還を。
明日も、赤を塗ろう。
また、戦いに行くために。
そして、また勝って帰ってくるために。