[ruri 妄想#003] 制服コスプレ、屋上の階段で見えそうに

廊下を抜け、階段を上る。
古びた鉄製の扉を押し開けると、屋上の空気が一気に流れ込んできた。
強い風が髪を揺らし、スカートの裾をそっと押し上げる。
視界の先には、無機質なコンクリートと、どこまでも広がる青空。
街のざわめきは遠く、ここだけが別の世界のようだった。

屋上の隅にある階段に、ruriは腰を下ろす。
プリーツスカートがふわりと広がり、太ももの上に柔らかい日差しが落ちる。
階段の冷たい感触が、素肌を通してじんわりと伝わる。

少し強めの風が吹いた。
スカートの裾が持ち上がり、膝の上からさらに奥までをさらけ出しそうになる。
反射的に手で押さえたものの、その仕草はどこかゆっくりで、ためらいがあった。
——見られてもいいかも。
そんな思いが、一瞬だけ心をかすめる。

視線を街へと向ける。
遠くのビルの屋上や、隣の建物の窓。
そこから誰かがこちらを見ているかもしれない。
その「かもしれない」という不確かさが、ruriの呼吸を少しずつ速めていく。

風はやむ気配を見せず、時おりスカートのひだをめくり上げる。
それを押さえるたびに、自分の指先が太ももの内側に触れる。
その感触が、妙に意識される。
胸の奥で、くすぶっていた熱がじわじわと広がっていく。

ruriはゆっくりと足を組み替えた。
その動作ひとつで、スカートの奥の影が角度を変えて揺れる。
誰もいない屋上なのに、まるで視線を浴びているような錯覚。
その想像は甘く、背徳的だった。

——この瞬間を、誰かが見ていたら。
そう思うたび、心臓の鼓動が高まる。
見られることへの怖さと、期待がないまぜになった感覚。
それは制服を着ていなければ、きっと味わえなかったものだ。

数分後、ruriは立ち上がった。
風がさらに強くなり、スカートの裾が大きく舞う。
今度はもう、押さえなかった。
そのまま壁際まで歩き、街を見下ろす。
ビルの谷間に流れる車、人の波、信号の色。
すべてが遠く、小さく見える。

そして、遠くでこちらを見上げている誰かを——
ruriは、想像の中で、はっきりと描いた。
その視線は確かに自分に向けられ、スカートの奥までを捉えている。
そう信じることで、胸の奥に心地よい熱が灯る。

レンタルルームへ戻る頃には、頬がうっすらと紅潮していた。
ただ屋上で風に吹かれていただけ——そう言い聞かせながらも、
制服の中の自分は、確かにいつもと違っていた。

ruriは鍵をかけ、ベッドの縁に腰を下ろす。
スカートの裾をそっとなでる指先に、まだ屋上の風の感触が残っている気がした。
それを確かめるように、目を閉じて、深く息を吸う。

——やっぱり、制服を着ているときの私は、少し大胆になる。
そう思いながら、ruriは微笑んだ。