春の階段―花びらが、背中を押した

「どこへ行くの?」 風が聞いた。

「次のステージへ」 即答した。 迷いは、なかった。

桜の下を歩いていた。 花びらがひらひらと落ちていく。 春が、少しずつ終わろうとしている。

でも私は、前へ進む。

今年の春は、特別だった。 新年度が始まって、慌てていた最初の頃。 何が正解かわからなくて、立ち止まることも多かった。

それでも、一歩ずつ。

気がついたら、2週間経っていた。 桜も満開になって、そして散り始めた。 季節は、待ってくれない。 だから私も、待たなくていい。

階段を登るように、前へ進む。 一段ずつ、確かめながら。

途中で振り返ってみた。 あの頃の自分が、遠く見える。

ずいぶん来たな、と思った。

風が言った。 「いい答えだ」と。

桜の花びらが一枚、肩に落ちた。 それが、合図だった。

次の一歩を、踏み出す。