
もう、昨日の私じゃない。だから、登れる。
夕暮れの階段。黄金の光が降り注ぐ。
上を見る。
長い階段。
でも、怖くない。
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昨日までの私なら、引き返していた。
「無理だ」と。
でも今日は、違う。
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今日、私は変わった。
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朝、目覚めた時から、何かが違った。
いつもの景色が、違って見えた。
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通勤電車の中で、決めた。
「今日から、変わろう」
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仕事が終わって、街を歩いていた時。
風が吹いた。
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強い風。
髪が、激しく舞い上がった。
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その瞬間、確信した。
「私は、変わった」
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そして今、この階段の前。
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「登ろう」
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迷いはない。
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一歩、踏み出す。
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また一歩。
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軽い。
足が、軽い。
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昨日までの重さが、ない。
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一段飛ばし。二段飛ばし。
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駆け上がる。
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風が、一緒に来てくれる。
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髪が、舞う。
黄金に輝きながら。
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笑みがこぼれる。
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楽しい。
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こんなに楽しいなんて。
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階段を登ることが。
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いや、違う。
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楽しいのは、階段じゃない。
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変わった自分が、楽しい。
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新しい私が、楽しい。
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階段の途中。
振り返る。
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ここまで来た。
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あっという間だった。
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昨日までなら、ここまで来るのに、どれだけ時間がかかっただろう。
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でも今日は、違う。
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なぜなら、私が変わったから。
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上を見る。
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まだ続く階段。
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でも、大丈夫。
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登り切れる。
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また駆け上がる。
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風が、背中を押してくれる。
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髪が、激しく舞う。
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黄金の炎。
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それは、私の中で燃えている、新しい情熱。
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頂上が、見えてきた。
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「もう少し」
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最後の力を振り絞る。
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いや、力なんて要らない。
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なぜなら、楽しいから。
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一段、また一段。
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そして、着いた。
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頂上。
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息を整える。
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心臓が、激しく鳴っている。
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でも、疲れていない。
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むしろ、元気になった気がする。
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景色を見る。
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街が、見える。
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夕日に染まった、オレンジ色の街。
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綺麗だ。
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でも、それ以上に。
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「私は、変わった」
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その事実が、嬉しい。
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風が、吹く。
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髪が、また舞う。
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黄金に輝きながら。
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「ありがとう」
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風へ。
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階段へ。
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そして、自分へ。
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「よく、変わってくれた」
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今日という日は、特別な日。
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私が、生まれ変わった日。
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そして、これから。
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新しい私として、生きていく。
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どんな階段でも、登れる。
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どんな風でも、受け止められる。
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なぜなら、私は変わったから。
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昨日の私は、もういない。
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ここにいるのは、新しい私。
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黄金に輝く、新しい私。