
一歩、踏み出す。重さを感じながら。でも、この重さが私を支えている。
冬の階段。
上を見る。
長い。
ニットワンピースを着ている。
重い。
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夏なら、軽いワンピースで登る。
秋なら、薄手のカーディガンで。
でも冬は、このニット。
重い。
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「脱ごうかな」
一瞬、思う。
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でも、やめる。
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なぜなら、この重さが必要だから。
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気づいた。
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重さは、邪魔じゃない。
重さは、力だ。
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一歩、踏み出す。
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ニットの重さを感じる。
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でも、不思議と。
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この重さがあるから、
足が地面をしっかり踏める。
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軽すぎると、ふわふわして、
足元がおぼつかない。
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でも、重さがあれば、
地面との繋がりを感じられる。
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また一歩。
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風が吹く。
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冷たい。
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でも、ニットが守ってくれる。
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そして、重さがあるから、
風に飛ばされない。
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軽いものは、風に負ける。
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でも、重いものは、
風の中でも立っていられる。
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階段を登る。
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一段ずつ。
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ニットの重さを感じながら。
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この重さが、私を支えている。
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階段の途中。
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振り返る。
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ここまで来た。
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ニットが重かったけど、
だからこそ、来られた。
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軽かったら、
途中で諦めていたかもしれない。
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「重いから、やめよう」と。
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でも、重さを受け入れた。
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そして、登り続けた。
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上を見る。
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まだ続く。
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でも、大丈夫。
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この重さが、私を支えている。
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また登る。
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風が、また吹く。
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髪が、揺れる。
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でも、身体は動かない。
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なぜなら、重さがあるから。
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ニットの重さ。
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それは、私の重さ。
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存在の重さ。
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軽すぎる存在は、
すぐに消えてしまう。
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でも、重さがあれば、
簡単には消えない。
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頂上が、見えてきた。
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「もう少し」
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ニットを引っ張る。
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重い。
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でも、この重さが、
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最後の力をくれる。
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一段、また一段。
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そして、着いた。
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頂上。
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息を整える。
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ニットが、重い。
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汗をかいた。
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でも、達成感。
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景色を見る。
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街が、見える。
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冬の街。
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灰色の空。
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でも、美しい。
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「登り切った」
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その事実が、嬉しい。
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重いニットを着たまま。
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脱がずに。
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重さを受け入れて。
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そして、登り切った。
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風が、吹く。
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でも、動じない。
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なぜなら、重さがあるから。
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ニットに手を当てる。
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「ありがとう」
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この重さが、私を支えてくれた。
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軽さは、自由。
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でも、重さは、力。
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どちらも、大切。
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でも今日、
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重さの価値を知った。
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冬の階段。
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重いニット。
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その組み合わせが、
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私に教えてくれた。
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「重さを、恐れるな」
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「重さは、君の力だ」
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そう。
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私は、重さを纏って、
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これからも歩いていく。