
風が言った。「よく頑張ったね」と。
帰り道の階段。上を見る。
バッグが二つ。重い。
でも、登る。ちゃんと登れる。
なぜなら、この重さは、今日の成果だから。
一歩、踏み出す。
階段に足をかける。バッグの重さを感じる。
でも、嬉しい重さ。
今日、たくさん買い物した。必要なもの、欲しかったもの。
迷ったけど、ちゃんと選んだ。
この重さが、その証。
また一歩。ニットワンピースの裾が揺れる。
これも、今日買ったもの。試着した時、すぐに決めた。
「これだ」と。
階段の途中。立ち止まる。
バッグを持ち直す。重い。
でも、下ろさない。持ったまま、登る。
この重さを、感じていたいから。
「ちゃんと選べた」という達成感を。
風が吹く。前髪が揺れる。
「いいペースだよ」と言ってくれている気がした。
また登る。一段ずつ。
急がない。でも、止まらない。
バッグの重さを感じながら、確実に。
振り返る。ここまで来た。
重いバッグを持ったまま。
「できるじゃん、私」そう思った。
また登る。風が背中を押してくれる。
「もう少しだよ」と。
頂上が見えてきた。
「もうすぐ」
最後の力を振り絞る。重いバッグを持ったまま。
一段、また一段。
そして、着いた。頂上。
息を整える。バッグを下ろす。
重い。でも、やり遂げた。
景色を見る。街が見える。
あの商店街で、買い物した。
そして、この階段を登ってきた。
全部、今日の私。
バッグを持ち上げる。また重い。
でも、この重さが愛おしい。
今日一日の、成果だから。
風が吹く。最後に。
「お疲れさま」と。
「よく頑張ったね」と。
頷く。ありがとう。
今日は、いい日だった。
重いバッグと一緒に、帰ろう。