
風が言った。「最後まで、頑張って」と。
夕暮れの階段。上を見る。
長い階段。
トレンチコートを着ている。重い。
今日一日、このコートを着て歩いた。
朝は軽かった。でも、夕方になると重く感じる。
でも、今日は登れる。
なぜなら、いい日だったから。
力が、まだ残っている。
一歩、踏み出す。
階段に足をかける。コートの重さを感じる。
でも、大丈夫。登れる。
また一歩。今日は、全部がうまくいった。
仕事も。人間関係も。小さなことも。
全部。
だから、力が残っている。
階段を登る。一段ずつ。
コートが揺れる。風が吹く。
「よく頑張ったね」と言ってくれている気がした。
階段の途中。振り返る。
ここまで来た。今日一日も、ここまで来た。
朝から夕方まで。いろんなことがあった。
でも、全部乗り越えた。
また登る。風が背中を押してくれる。
「最後まで」と。
そうだね。最後まで、頑張ろう。
今日という日を、完走しよう。
頂上が見えてきた。
「もうすぐ」
夕日が、眩しい。
でも、美しい。
最後の数段。コートが重い。
でも、登り切る。
そして、着いた。頂上。
息を整える。
やり遂げた。今日という日を。
景色を見る。街が見える。
夕日に染まった、オレンジ色の街。
綺麗だ。
コートを脱ぎたくなる。重いから。
でも、まだ着ている。
なぜなら、家に着くまで、今日は終わらないから。
最後まで、ちゃんとやり遂げよう。
風が吹く。最後に。
「お疲れさま。いい一日だったね」と。
頷く。ありがとう。
いい日は、最後まで力が残る。
そして、最後の階段も登れる。
それを、今日学んだ。