勝利の風―赤いリップの理由

ブルーアワーの路地を歩く。 ヘリンボーンのコートに包まれて。 ポケットに手を入れて。 赤いリップを引いている。

風が吹く。 髪が揺れる。 「強いね、今日」と風が言う。

昔は、強がっていただけだった。 赤いリップも、鎧のつもりだった。 でも、今は違う。

今日の赤は、自分で選んだ赤。 誰かのためじゃない。 自分のための色。

風が吹く。 冷たい。 でも、心は温かい。

路地の灯りがぼんやり光る。 この街が、私を見守っている。

「また明日も、その赤で来なよ」 風が笑う。

「もちろん」 そう答えた。