• 3月 13, 2026

春へ向かう階段―赤を引いて、上を向く理由

風が言った。 「今日は寒いよ」と。 わかってる。 空はグレーに沈んでいる。 3月なのに、頬が冷たい。 寒の戻り、というやつだ。 春は、まだそこまで来ていない。 それでも、赤いリップを引いた。 鏡の前で、決めた。 今日は、強く在りたい。 それだけの理由 […]

  • 3月 12, 2026

梅の階段―明日を信じる、一段目

「登ってごらん」 風が言った。 住宅街の角に、梅が咲いていた。 空は青かった。 コートがちょうどいい、13度の午後。 光がまっすぐ、差してくる。 私は、空を見上げた。 思えば、いつも下を向いて歩いていた。 次の一歩が怖かった。 間違えたくなかった。 […]

  • 3月 11, 2026

春の階段―梅の咲く先へ、一歩ずつ

「もう春だよ」と風が言った。 昨日まで、気づいていなかった。 いや、気づかないふりをしていたのかもしれない。 住宅街の階段を登り始めた。 傍らに梅の木が一本。 白い花が、静かに咲いていた。 気温は12度。 コートがちょうどいい。 北東の風が、ほんの少 […]

  • 3月 10, 2026

3月の階段―春を信じて、一歩ずつ

「そろそろ、登ってみる?」 風が言う。 曇り空の下、住宅街の階段の前に立った。 頬がひんやりする。 でも、その冷たさが清々しかった。 一段目。 思い切りがいるのは、最初の一歩だけだ。 二段目。 足が覚えていく。 三段目、四段目……。 「どこへ行くの? […]

  • 3月 9, 2026

曇りの階段―グレーの空の下で気づいたこと

「曇りの日こそ、登ってみな」 風がそう言った気がした。 気温12度。 雲が低い。 空の色がグレーに沈んでいる。 晴れてもいない。 だから何かが始まる気もしない。 それでも今日、この階段を登ることにした。 一段目。 ベージュのトレンチの裾がひらめく。 […]

  • 3月 8, 2026
  • 3月 8, 2026

受容の階段―そのままの私で、登っていい

「そのままでいいよ」 風が言った。 3月の朝、路地に出た瞬間のことだった。 気温12度、晴れ。 光がまっすぐ差してくる。 影が濃い。 いい日だ、と思った。 階段の前に立った。 昔の私なら、躊躇していた。 もっと準備ができてから。 もっとちゃんとなって […]

  • 3月 6, 2026

冬の階段―自分のペースで、一段ずつ

風が言った。 「急がなくていい」と。 路地の先に、古い階段があった。 段数は多くない。 でも、なぜか、いつも重く感じた。 グレーのコートに手を入れて、登り始める。 一段目。 二段目。 後ろから誰かに追い抜かれる気がして、 ふと振り返る。 誰もいない。 […]

  • 3月 6, 2026

自分のペースの階段―一段ずつで、いい

「焦らなくていい」 風が言った。 階段の前に立って。 グレーのコートを纏って。 一段目を踏む。 ゆっくり。 昔の私なら、もう走っていた。 二段飛ばし、三段飛ばし。 早く登らないと、と思って。 息が切れても、止まらなかった。 でも今日は違う。 一段ずつ […]

  • 3月 5, 2026
  • 3月 5, 2026

明日へ続く階段―私だけのペースで

「焦る必要なんてないよ」 吹き抜ける真っ白な風が、そっと私の頬を撫でていった。 黒いパンプスのつま先が、冷たい石段を確実にとらえる。 夕陽に照らされた住宅街の長い階段は、空へと続くようにどこまでも高く見えた。 ポケットに入れた手の中で、小さく拳を握り […]

  • 3月 4, 2026

自分色の階段―黒いコートで、ゆっくり登る

「急がなくていいよ」 風がそう言った。 冬の階段の前に立つ。 黒いコート。 黒いニット。 黒いスカート。 全部黒。 それでいい。 これが今の私だから。 一段目。 踏み出す。 昔の私は、こういう階段を走って登っていた。 遅れてはいけない、と思っていた。 […]